リーベンレディスの魔女
Witch of Reevenredis



1.Death 死神警告 Warning

2.Witch 北方魔女 Reevenredis

3.Contract 破天荒契約 Unprecedented

あとがき






1.Death Warning

 某月某日。
 とーとつだが、俺は妙な依頼を受けた。

「‥‥‥‥は?」

 思わず眉を思いっきりひそめ、すっとんきょうな声を上げたが、目の前の依頼主は動じることなくででん、とかまえている。四十絡みのおっさんで、上等な生地で作られた、凝った意匠の服で身を固めているが、肥えた──もとい、恰幅【かっぷく】のよろしい身体には似合ってはいない。
 ‥‥‥まぁ身長があるから何とかごまかされてるけど。
 それはともかく。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥魔鬼【マキ】退治、ですか?」
「うむ」
 鷹揚
【おうよう】に頷くおっさん──失礼、依頼主のカディン=ヴィラ=ラインレイル。

 仰々しい名前でおわかりになるだろうが、この人はラーフェイル王国領、ラインレイルのれっきとした領主様なのである。
 その領主様が大金かけて仕事を依頼してきたのだが‥‥‥よもやただの魔鬼退治とわ‥‥‥。

 ちなみに魔鬼というのは、平たく言っちゃえば単なるザコ、である。
 俺のよーな魔技使い
【ルーナス】ならば、呪文の一発も唱えればそれで終わってしまうという、何とも盛り上がりのない敵なのだ。

 そんな奴らの退治に殺人犯並みの賞金かけんなよ。正気か、このおっさん。
 などと心の内で思うが、もちろん顔には出さない。

「近頃、魔鬼の動きが活発なってきてる様でな‥‥。近隣の村では畑が荒らされ、退治に出ていった者たちは未だに戻って来ないと言う。
 我が騎士団を派遣したものの、ばったりと足跡が途絶えたのだ。今でも村の被害は増える一方だ」
 腕組みをし、ひじょーに悩んでいる様子で言うカディン領主。

 どこにでもごろごろ転がっていそうなありきたりな話だが、騎士団が戻って来ないってぇのはどう考えてもおかしい。
 村人ならともかく、だ。剣やら何やらの扱い方の知識をある程度識
【し】っている連中が、魔鬼を倒せないハズがない。むしろそーゆーやつを見てみたいぐらいだ。

 ‥‥‥こうなれば魔鬼の後ろで操ってる人物がいるか、騎士団がよほど情けないかのどちらかだ。
 このおっさん──もとい領主様も、前者の考えを持ったのかもしれない。いくらなんでも後者の考えは持ちたくないだろうし。
 ‥‥‥‥この依頼、面白いかもしんない。

「というわけなのだが‥‥‥。
 どうだろうか、ラミア=リフシュール殿。受けて下さるか?」
 やけに下手に出てくるカディン領主。その様子が何だか道に迷った犬の様である(失礼)。高圧的な態度で出ると思いきや、なかなかどうして謙虚
【けんきょ】である。

 ‥‥‥なぁ〜んか、調子狂うよな。まぁエバられてもムカツクけど。
 なんぞと考えつつ、俺は即答した。

「無論です。お受けいたしましょう」
 そうして、俺は人受けのする笑顔も添えてやった。

* * * * *

「‥‥‥んで、引き受けたわけだ」
「そーだよ。文句あるか?」
 昼時で、人のごった返している食堂で、俺は昼食をつつきつつ、目の前の男に向かってそう言った。

 年は俺と同じ十七歳。赤みがかった黒髪は短く切られ、双眸は冴えた紫色。その冷静沈着ぶりで、実の歳より上に見える。
 剣士のクセにヤケにほっそりした体つきである。魔技使い
【ルーナス】の俺より繊細そうって、どうよ?
 名前はティリス=リフシュール。俺の片割れ(兄)である。
 ──何を隠そう俺らは双子だったりする。二卵性の、だが。

「‥‥‥滅茶苦茶怪しくないか?」
 ティリスのセリフに俺は肩を落とした。

「あったりめーだろ! 怪しくない依頼なんぞアウト・オブ・眼中!」
 俺はフォークをぐっ、と握りしめ、断言した。

 しかし、俺の兄はため息をつく。
 全く、俺の行動ぐらい読んで欲しいモンである。何年つき合ってると思ってるんだろうか、コイツわ。

「‥‥まぁ、いいけど‥‥」
「引っかかる言い方だなぁ〜」
 俺は長い黒髪を結わえ直しながら、憮然と言う。

 だいたいティリスはこーゆー言い回しをする。かなり気になるからやめて欲しいんだが‥‥‥。
 今さら言って聞くわけでもねぇし、言うだけムダか。

「で、異論はねーのな?」
 改めて確認を取る俺に、ティリスは肩をすくめた。
「もう引き受けたんだろ? 異論なんてない」
 やれやれ、とでも言いたげにそう答え、昼食の残りを片づけ始める。
 ‥‥‥‥‥昔っから思ってたが‥‥‥‥‥お前、可愛げねぇよ‥‥‥‥‥

* * * * *

 ラーフェイル王国ランスレイル領の端も端。
 ほとんど国境と言ってもいい程の場所に、タウン=セシカという小さな町がある。

 魔鬼が襲う街は、東からどんどんこの町に近づいてきている、ということで次はここ、タウン=セシカだろうという推測のもと、先回りしてやって来たわけなのだが‥‥。

 あっはっは。これがまた平和なコト。
 領主様からの正式文書をちらつかせて、この町の町長の家に居候中だが何ぁ───んにも起きない。
 これでは拍子抜けである。

 俺の予想では、この町に着くなり魔鬼の集団が現れ、それを一瞬で葬【ほうむ】った後、裏で操っている人物が出てきて、理由を一から十まで喋り倒した挙げ句成敗されてめでたしめでたし──な、展開だったのだが。
 世の中はそんなに上手く出来ていないらしい。
 ‥‥‥ちっ、世知辛い世の中だぜ。

 町長の家にいたら何だか視線が痛いので、聞き込みと称して町をうろうろしていた。
 聞くべき情報は領主様からも、この町の人からもだいたい聞いたので実際することがないのだ。

 まず一つは先述したように東から西に移動しているということ。
 もう一つは、首謀者が北方
【リーベンレディス】の魔女らしい、ということ。

 おそらく聞いたことがあるだろうが、一応補足しておくと、彼女はこのラーフェイル王国に置ける(巫女ではないが)巫女的存在で、国政にも関与しているトカ。
 一般的には『神女
【しんじょ】』、あるいは『聖女』なんぞと呼ばれている。──疑問なのだが、そんな彼女がこんなセコイことに首つっこむだろうか?

 ‥‥‥ま、ナゼか『神女』辞めたらしーし、その腹いせカモ。
 それでもやっぱしお粗末な感じが拭いきれない。真相は闇の中、だ。

 ちなみにティリスだが、朝早くからいないらしい。あいつも突発性放浪癖があっからなぁ〜。
 ‥‥‥などととりとめもないコトを考えていたら人にぶつかってしまった。

「あ、悪い。大丈夫か?」
 相手は、白い外套に身を包んだ人物だった。

 俺より頭一つ分は低く、小柄だ。華奢【きゃしゃ】だし、女かもしれない。
 と、フードから、入れていたらしい、長い銀髪が流れ落ちた。

「‥‥‥」
 だんまりかい。
 心の内でつっこんで、何かしたっけ、俺?ととりあえず自問してみるが、んなことはあり得ない。
 一人納得して、とりあえず顔をのぞき込む。

 すると──鮮やかな、紅玉【こうぎょく】色の瞳とばったり合ってしまった。
 思わず、息をのんだ。

 綺麗な少女だ。そりゃもー間違いなく美少女だ。だが、俺が息を飲んだのはそーゆー理由ではなく、その少女の瞳【め】だった。
 燃える様な紅。チカラの宿る、深い赫
【あか】色。
 とてもじゃないが、俺とタメ歳ほどの少女が持つような強さじゃない。

 ‥‥少女の朱唇が動く。

「‥‥‥死神に、お気を付けなさい」
「───────はぁッ?」
 少女はそれだけ言うと、さっさと俺の横を通り過ぎた。

 呆然として、俺は彼女の背を見つめていたが、人混みに紛れて見えなくなった。
「‥‥‥死神‥‥‥‥?」
 俺は顔をしかめて呟いた。

 おいおい、俺は取り憑かれるってのか?
 じょーだんではない。何が悲しゅーて通りすがりの女なんぞに不吉な予告をされにゃあならんのだ!?

「んなモン、来るわけねぇだろぉ─────ッ!!」
 聞こえるハズもなかったが、少女に向かって叫び返した。

 かなりの人が俺を見たが、そんなもん無視である。
 今度会ったら覚えてろ!その時に死んでないことを証明してやるっっっ!!
 俺はあさっての方向に向かって固く決意した。

 ────その時。
「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
 昼間の通りをつんざく悲鳴!
 何ともステキな展開である。
「うしっ!!」
 俺は人知れずガッツポーズを取った。待ってたぞ!  このスチュエーション!
 どよめきの中を、俺は走っていった───つまり、悲鳴の方へと。

* * * * *

 タウン=セシカのメインストリートは騒然となった。
 なまじ昼に近かったために人通りが多く、それがよけいに混乱を煽
【あお】ったようだ。

 俺は人の波を逆流し、問題の場所へと向かう。───この方向だと、この町の出入り口の方か。
 だぁぁぁぁっっ!  どぉでもいいが、人がうっとぉしいっっ!!
 などと考えつつ流れに逆らうこと数分。

 やっとこさ人の姿が消え、代わりに俺の視界に飛び込んで来たのは───予想通りと言うか何というか───魔鬼の集団だった。
 をををををっっ!! 会いたかったぞ! これで高報酬ゲットは確実だ!
 ここで会ったが百年目、きっちりカタを着けよーじゃねーか!

 俺は早速術式に則【のっと】った形で印を切り、《技》の発動の場となる《陣》を組み上げる。
「フェオ・ラーグ・ユル!  天
【そら】を支えし原始の巨人の落とす裁き!」
 俺の声に応じて黄金
【こがね】色の雷が落ち、魔鬼の内の一匹に命中! そのまま霧散する───と思いきや。

 ばちばちばちッ! ‥‥‥‥‥‥ぽしゅっ

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥な、何だぁぁぁぁぁ〜!!? 今のわぁぁぁぁっっ!!」
 『ぽしゅっ』ってぇのがとてつもなく情けねぇ〜〜〜!
 思わず両手で頭を抱えてしまった。‥‥‥ってそんな場合じゃねぇ!

「魔技【マギ】を防いだ、だと!?」
 魔鬼のクセに生意気な! まさか異種交配させた新種か!?
 って誰がんな物好きなコトすんだよ!!

 どうでもいいが、誰かツッコんで欲しい。セルフツッコミはめちゃ虚しい。
 気を取り直して、俺はまた印を切り始める。───お次は先の術よりもちょいと高度なものである。
 《陣》が完成し、手を掲げる!

「ソーン・イス・ハガル! 硝子の槍を掲げし乙女の冷ややかなる息吹!」
 氷の槍が魔鬼の集団に降り注ぎ、そのうちの数匹の魔鬼が貫かれて霧散する!
 ‥‥‥うーむ‥‥‥これは間違いなく‥‥‥

「耐魔性があるね」
「どぅわッ!?」
 俺はいきなり出てきたティリスに驚き、数歩退いた。
 どっから出てきたんだ! お前わ!

「神出鬼没ッ!!」
 びしっ、とティリスを指さし決めつける俺。
「いつものことだろ?」
 ‥‥‥いや、さらりと流されるとこっちとしてもノッた意味がないってゆーか‥‥‥
「ともかく、魔道の方の耐性があるってことは間違いないな」
「物理的なモンは?」
「それは今から調べるよ。援護よろしく」
「あいよー」
 気安く請け負って、俺はひらひら〜と手を振った。

 その間にも、ティリスは似合わねー剣を抜き放ち、魔鬼の集団に向かって駆けだした。
 何の因果か知らないが、ティリスの奴、剣のウデ立つんだよなぁ〜。

「っとぉッ!?」
 いつの間にやら俺の近くにやって来ていた魔鬼の攻撃を間一髪でよけ、片手を地につけ呪を紡ぐ!
「ソーン・イス・ユル! 銀盤の歪みに映りし無数の氷腕
【ひょうわん】!」
 地面から細い氷柱が伸び、俺を襲いやがった魔鬼を貫く!

 いくら耐磨性があるとは言え、貫かれてはひとたまりもないだろう。《陣》なしの簡略魔技だったが、通じた様だ。
 …ふむ。取りあえず、ある程度高度な魔技は防げないようだ。それはともかくとして、俺様に手を出すとは五百七十六万、とんで六十五日早いッ!!

 さて、問題はティリスの援護だ。
 援護とゆーからには俺の大好き無差別広範囲攻撃魔技が使えねーんだよな……。まぁ、地道にいくとするか。
「ケン・ラーグ・ハガル! 黄金の輪を身に飾りし主たる王の右腕!」

 呪を唱え終えると同時に、魔鬼に触れる!
 と、熱風を伴った白炎の槍が、その魔鬼を貫き、ついでに後ろのもう一匹──ティリスを狙っていた奴だ──をも貫いた!
 うむ、ナイスフォロー、俺。
 うしっ! 次いくぞ〜!
 気合いを入れて、俺は再び《陣》を組み上げ始めた。

 ……かくして数十分後には魔鬼の集団は跡形もなく俺とティリスによって成敗された。

* * * * *

「ふぅん…なかなかやるのね」

 …と、魔鬼がいなくなって静かになったところで、女──っつってもどうやら少女の様だった──の声が耳を打った。
 意外そうな色と感嘆に色の混ざる、それでいてどこか面白がるような、声。
 ……って、この声、聞き覚えがあるような。

 声のした方向を向くと、白い外套で全身をすっぽりと覆った小柄な人物である。って………
「あぁぁあぁぁぁーーーーっっ!! 死神予告の女!!!」
 びしぃっっ! と俺はその人物──あの、鮮烈な赫
【あか】色の目を持った少女に指を突きつけた。

 忘れるハズもないっ! あんなに美少女でありながら不吉なコトを告げやがった女だ!
 あ、顔はカンケーないか。

「……何、それ」
 ティリスが呆れた声でツッこんでくるが、無視。……どう説明すればいいか俺にもよく分からない。
 少女はくすくすと笑い、外套のフードを取り払った。

 クセのない、真っ直ぐな銀髪に、深い、闇を思わす程の深い真紅の双眸。象牙色の肌に端正な顔立ち。
 間違いない。あの少女だ。
「数十分ぶりね。 ……死神のお眼鏡に適った様だわ」
 にっこりと、微笑んで言う。

 ……それだけで、ある程度の男は落ちるだろう。
 だが、問題はそんなことではなく、少女のセリフの内容である。

「だから、それってどーゆーことだよ? 死神なんぞに会った覚えはないぞ」
 至極真っ当に生きてきて、人に言えない悪事は…………したかも。だがそれでも、死神に狩られてしまうほど汚れた魂を持ってるつもりはない──って何真剣に考えてんだ、俺。

「あら、それは気のせいよ。会った覚えもあるし、目の前にいるわ」
 …………………えーと……………………
「もしかして、コレ?」

 言って、俺は取りあえず目についたティリスを指した。『コレ』呼ばわりされたのがムカついたのか、俺を睨みつけてくる。
 怖いけど、とにかく無視を決め込む。
「まさか」
 しかし、少女はころころと笑い、続ける。

「もしそうだったら、貴方も死神、ということだってあり得るでしょうに」
 外見で、双子だと判断したらしい。二卵性とは言え、かなり似ていることは自覚している。
 うむ、確かにこの女言うとおりカモ。みょーに納得。
 ってことは、
「あんたが、死神?」

 少女が笑った。
 先程の、人受けのするそれとは違い、不敵に。
 どうやら俺のセリフを肯定した様だ。

「私の名前はオーリッド=キーティッシュよ。
 これからよろしくね、ラミア君、そしてティリス君」
 ……なんでコイツ、俺たちの名前知ってんの……?
 どーでもいい疑問が脳裏をかすめて過ぎた。

 かくして、(自称)死神の少女が取り憑いた………って、いうんだろうか、コレ。
 横でひっそりとティリスがため息をついた。

 今の会話でだいたいの状況をつかんで、なおかつ面倒なことに巻き込まれたことに呆れているんだろう。
 …別に俺のせいじゃないと思うんだけどなぁ。

* * * * *

「んで、ティリス。魔鬼の方はどうだった? 何か変わったことあったか?」
 俺は頭の後ろで手を組んだまま、隣を歩くティリスに声をかけた。

 魔鬼を倒したことで、町の人たちに感謝されつつ町長の家に戻るところだ。初めは死神を名乗る少女、オーリッドに理由などを詰問してみたのだが、曖昧【あいまい】な微笑で誤魔化された。
 俺たちの後ろを付いてきているのは気配でわかるが、目的のほうは、いっこうに気配を見せない。

「普通のよりは、堅かったよ。倒せないことはないけど」
 打てば響くように答えが返ってきた。
「……やっぱり」
 耐魔性があったんだから、強化されてるだろうな、とは思ってたが。

「あれは、魔道なのか?」
 と、ティリス。俺は頷いた。

 魔道、と言ってもいろいろと種類がある。
 俺が得手としているのは、魔技
【マギ】、というものだ。神鬼【シンキ】や天鬼【テンキ】、という一種の精霊から力を借りている術で、比較的普及している魔道と言える。

 そして、もう一つ普及している術は、創術と呼ばれるそれだ。魔力を帯びた道具を生成する技術──と言えば何かスゴイ感じがするが、実際には街の街灯やランプなどの地道な道具が主な生成品だ。つまりは庶民に身近であるから名が通っているだけなのである。

 しかし、中にはマジもんの創師ってのもいるらしい──それが、今回は関わっていそうだった。
 魔道に関しては…他にも細かいものはいくらでもあるが、それをいちいち説明していては日が暮れてしまうのでこれだけにしておく。

「十中八九、そうだろーよ。
 まぁ、首謀者が北方
【リーベンレディス】の魔女ってぇ割にはお粗末すぎるような気がするけどなー」
「それは同感」
 と、オーリッドが妙に力を入れてふみふみと頷いている。

 ティリスは適当な相づちを打ったが、ふと思いついた様に首を傾げた。
「ところでラミア。オーリッドは何て説明するんだ?」

 …………をををっ!! すっかり忘れてたぞ!
ついて行くと決めたらしいが、タダでさえ俺たちが転がり込んでいるのである。この上彼女まで連れていったら、最悪追い出されるかもしれない。

「従妹ってことにすれば?」
 ピッと指を立て言うオーリッド。
 思わずコケそうになる俺。
 ……い、従妹だとぉっ?

「でも、似てないぞ」
 そーゆー問題なのか?ティリス?
「義理の兄だか姉だかの娘で、しかも生き別れとか。それなら似てなくても平気よ」
 ……をひ。
「それなら、良いかもな」
 ……コラ。
「じゃあ、そういうことにしましょうか。………って、何頭抱えてるの、ラミア君」
「………何でもない」

 根本的な何かが間違っているような気がするのは俺だけか……?
 死神を拾ったというよりは、頭痛の種を拾っただけの様な気がしてきた……。


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