【懐古詩篇】31-60


44.

愛して居る、等 
吐き出すほどに虚言、けれど至上の悦び 
僕を惑わすのに倫理は必要ないのです。


43.

屹僕独りの存在、等 
ちつぽけでばくてりやの様にはいかず 
けれど君を愛しく想ふだけは。


42.

君の創り出す箱庭は 
精緻で複雑それでも唯つの畸形を造る 
その狂気に敬意を。


41.

君の世界は偏執狂者のオルゴォル 
僕の時代錯誤の耳は感度が悪く 
それでも奇麗に響ゐて居て。


40.

丁度君は孵化したばかりの蛹で 
支脈は未だ不安、鱗粉さえ 
それでも蜜を求める本能は底に。


39.

屹度君は刺激が足りないのでせう 
鳥度した出来事にも貪欲な 
君の事ですから。


38.

君にこの思考理解して貰いたく欲し 
君の甘言を訊きたく想ひ、
報われないと知っていても君を求む。


37.

僕の頭蓋に詰まっている 
虚無妄想、限り無い強欲愛憎全部、
僕がくたばる前に吐き出したゐのです。


36.

口の廻らない僕が 
君に伝えようと思考すると 
矢張り呼吸出来ず、言語にて。


35.

惑ひが無いといふ君には
無駄かもしれませんが
たつた独つ僕が出来る事ですから何卒。


34.

君を理解するには 
余りに複雑怪奇且つ病的故に 
僕は君の心理独つ読み解けはしないのです。


33.

僕の虚言は君にとつては
耳を騒がす雑音の唯つでせうが
それでも僕は吐き出し続けるつもりです。

僕の詩は君にとつては
不協和音ノ旋律でせうが、
耳を塞いでも
それでも僕は吐き出し続けるつもりです。


32.

僕ノ告げる証言の何処に
事実無根の虚構があるのでせう
君ハ唯独つ主張する
「私ノ潔白ヲ信ジテ」
血を吐きながら
涙流しながら
器用に演技する君ハ銀幕スタァ

蔓草格子の籠ノ中
白い腕で手招きをしている
真直ぐな眼差し
無実を主張する罪人の
逆説のパラドックス

大衆の目前で人間は君を責める
僕が知っている君の渾てを!
そして
君ハ唯独つ主張する
「私ノ罪ハ貴方ヨリ軽イ」
血を吐いて涙を流す
君ハ有能な銀幕スタァ


31.

君ノ理路整然とした事実を
暴く事さえ、
僕ノ誤謬であるやうに思えます。
過ちさえも、君ノ手に罹れば
腐敗さえ高潔な理由ト為るのです。

嗚呼 群青空は今日も隠れた儘さ。

君ノ曖昧模糊とした人格を
知る人間は、
僕だけという優越感。
存在理由立証する為日夜
証言台に挙がる事こそ君ノ自我と思えるのです。

君ノ手に罹れば、
罪のカタチさえ×から○ト為るのです。
腐敗さえも高潔な理由ト為るのです。
その事実を暴く事さえ、
僕ノ誤謬であるやうに思えます。

嗚呼 群青空は、太陽は、今日も逃避している。